「奥寺さん自身は、猫守神社の本社について聞いたことないかな?」
「そういえば、小さい頃に聞いたことがあるような…」
「それ、思い出せない」
「ちょっと待って、今思いだす。…うーんとね。なんか、日本風じゃない名前だった
気がする。アリスとか、エミリーとか、マリアとか。……マリア、マリア。そうだ。
思い出した!! マリアナだ。マリアナ」

 マリアナ? マリアナといったら、マリアナ海溝とかマリアナ諸島のこと?
 まさか、猫守神社の本社って、海外に在って、しかも海の底なの? 
 それじゃ、24時間以内に探し出すなんて、無理ゲーじゃないの。
「マリアナ…。解った。ありがとう、とても参考になった」
「本とに役にたったの?」とアーちゃん。
「うん」しっかりした声で、三笠君が答える。

「じゃあ。美寿穂と代わってくれる」
 アーちゃんに促されて、三笠君がスマホを私に返してよこす。
「美寿穂、美寿穂、美寿穂っ!!! あなた、どうしたの。どうやって、三笠くんを
落としたの?」
「いや、別に…そんな…(落としたとかじゃなく)。たまたま、色々あって…」
「その、色々っての、後でたっぷり聞かせて貰うからね。じゃぁ、ガンバ!!!」
 アーちゃんの大きな声と共に通話が切れた。
 私と三笠君は顔を見合わせて笑った。