えー!? 誰と? アーちゃんの大きな声がスマホから漏れ出てくる。
「もし、もし。電話代わりました。三笠です」
 えー!? 三笠君!? なんで三笠君が美寿穂と一緒にいるの?
 アーちゃんの大音量で、スマホが震える。
 三笠くんも、その声に気おされ、スマホを耳から遠ざける。
 アーちゃんのリアクションが収まるのを待って、三笠君が口を開く。
「あの…、ちょっと事情があって、濱野さんと一緒に探し物をしてるんだ」
「何々、どんな事情? 詳しく教えて!」
「いや、それは後で。…で、その探し物なんだけど…」
「ああ、そうだったね。で、何探してるの? 私に分かるようなこと?」
「奥寺さんの家って、代々この街に住んでるんですよね」
「うん。そうだよ」
「猫守神社って知ってる?」
「知ってる知ってる。和菓子の仁連屋本店の中に有るんだよね。仁連さんと私んちは
懇意にしてるから、知ってるんだ」
「僕たち、今そこに居るんだ。それで、仁連屋さんの猫守神社は、新しく建てられた
社らしいんだけど、以前の社、本社が何処にあるのか知りたいんだ」
「それなら、仁連屋のお祖父さんに聞いて見れば?」
「それが、生憎と旅行で不在なんだ。それで、奥寺さんのご家族の方なら、知ってる
かも知れないと、素子さんに言われて、連絡したんだよ」
「なるほど。うちのオババなら知ってると思う。でも……」
「でも……?」
「オババは知り合いの年寄りとアメリカ西海岸に旅行中」

 どうなってるんだ。アメリカ西海岸がブームなのか、この辺りでは。