そうか…。と、唸って三笠君がまた思案し始める。
 暫くたって、三笠君が「なるほど、そういうことか」と頷いてみせる。
「何か分かったの」
「すこしね、ヒントのヒントくらい」
「ネコモリサマが以前に住んでた場所?」
「うん」

 すごいよ三笠君。
「じゃぁ、急いで、そこへ…」
「うん。その前に…素子さんと、話をしないといけない」
「素子さんと?」
「ああ」
 三笠君は、そう言うと立ち上がって、座敷の襖を開ける。
 襖の向こうは、和菓屋の店内に繋がっていた。
 幸い店内には誰も居ない。

「あら、濱野さん、具合いはもういいの?」
 私と三笠君に気づいて、素子さんが声をかけてくれた。
「もう、何ともないです。ありがとうございました」
と頭をさげる。
「素子さん。ちょっと、教えて欲しいんことがあるんですけど」
 三笠君が質問を切り出した。
「うん? 何でも聞いて。でも、キスの仕方とかは知ってるんでしょ?」
「何で、そうなるんですか。真面目な話なんですけど…」
「ごめん、ごめん。で、なに?」
「猫守神社の由緒話では、こちらの先祖の仁連佐七さんが、ここに新しく猫守神社を
建てたって事になってますよね」
「うん。そうだよ」
「って事は…。別の場所に、前の猫守神社があるって意味だと思うんですけど…」