「条件?」
「そう。叶えてしまった願いの取り消しには、条件が要る」
「どんな?」

 えーと、それは。
 と言いながら、ネコモリサマが私の周りをソワソワと歩き始める。
 絶対、いまその条件てのを考えてるよね…。

「うほん。条件は決まった」
 とネコモリサマが改まった顔で私を見る。
「なんですか、条件って?」
 私の質問に対して、ネコモリサマがネヘヘと嫌な笑い顔を作る。
「それはの…、儂の隠れ家を見つける事じゃよ」
「隠れ家? 隠れ家って何ですか?」
「それを言ったら、探す意味が無くなるじゃろ。これから、美寿穂の時間で24時間
以内に、儂の隠れ家を探し出すこと。それが、最初の願いを取り消す条件じゃ」
「24時間以内。そんな…、大体、どこなんですが隠れ家って?」
「それを探すのが条件じゃよぉ」
「そんな…。全然、見当もつかない…。なにかヒントとかは?」
「ヒント…。そうじゃのう…。儂が、むかし住んでおった所に入り口がある」
「えぇっ!? それじゃ、ヒントにも何もなってないじゃないですか」
「フフフ。ちゃんとヒントになっておるんじゃよ。じゃーねー」
 そう言うと、ネコモリサマは前足を片方挙げて、バイバイの仕草をした。
 自信たっぷりにニヤついているその顔が憎たらしい。
 と、見る間にネコモリサマの姿がぼやけていく。
 私の周りの真っ白い世界の景色も霞んでいく。

 あっ、ちょっと待って!
 そう思って、右手をネコモリサマの方に差し出した。
 そこで、意識が無くなった。