「さて、次はどうしようかな。濱野さんの見た髭猫がこの辺に居れば良いんだけど」
「うん」
「素子さんに、訊いてみようか。知ってるかもしれない」
「そうだね」
私たちは、店の戻るため祠に背をむけて歩き出す。
ニャァ。
翠の声。
振り返ると、翠は祠の前に座ったまま、首だけを私の方に向けている。
「どうしたの。一緒に行こう」
と声をかけてみたけど、動こうとはしない。
私は翠の隣にしゃがむ。
「行こう」
やっぱり、翠は動かない。
そうか、猫盛神社に来たのに何にもしないのは失礼だよね。
そう思って、しゃがんだまま胸の前で手を合わせ、目をつぶる。
「猫守さま、猫守さま。で良いのかな? 私です、濱野美寿穂です。今朝は、夢だと
思って、翠を猫にする御願いしましたけど、あれは間違いです。どうか、翠を人間に
戻してください。お願いです」
心の中で、そう願をかけた。
サーッと一陣の風が吹き抜ける。
周りが急に静かになったような気がする。
ゆっくりと目を開けると、私は真っ白な風景の中にいた。
「うん」
「素子さんに、訊いてみようか。知ってるかもしれない」
「そうだね」
私たちは、店の戻るため祠に背をむけて歩き出す。
ニャァ。
翠の声。
振り返ると、翠は祠の前に座ったまま、首だけを私の方に向けている。
「どうしたの。一緒に行こう」
と声をかけてみたけど、動こうとはしない。
私は翠の隣にしゃがむ。
「行こう」
やっぱり、翠は動かない。
そうか、猫盛神社に来たのに何にもしないのは失礼だよね。
そう思って、しゃがんだまま胸の前で手を合わせ、目をつぶる。
「猫守さま、猫守さま。で良いのかな? 私です、濱野美寿穂です。今朝は、夢だと
思って、翠を猫にする御願いしましたけど、あれは間違いです。どうか、翠を人間に
戻してください。お願いです」
心の中で、そう願をかけた。
サーッと一陣の風が吹き抜ける。
周りが急に静かになったような気がする。
ゆっくりと目を開けると、私は真っ白な風景の中にいた。