公園を出てから気が付いたけど。
 町中で自転車の二人乗りは、けっこう恥ずかしい。
 知ってる同級生に見られたら、どうしよう。
 だんだん、恥ずかしさが増してくる。
 それに、もしも三笠君の彼女さんに、この様子を見られたら。
 なんて酷い人と蔑まれるだろう。
 あるいは、件の噂好きの二人に、この光景を見られたら。
 なんて厚かましい人と陰口を叩かれるだろう。

―下ろしてください。やっぱり、歩いていきます―
 そう喉元まで出かかった。でも、止めた。
 今は、そんなことを言ってはいられない。
 私がどんなに蔑まれようが、どんなに陰口を叩かれようが、構わない。
 いまは、一刻も早く翠を人間に戻さないと。
 その手がかりになるかも知れない猫守神社に一秒でも早くたどり着かないと。