皆が寝静まるのを待ち、翠の部屋の前に立ち、ゴメンネの言葉を胸の奥底で何度も
唱えた。
『ごめん 翠 お姉ちゃんが悪かった どこにも行かないで』
そう書いたノートの切れ端を、ドアの隙間から差し込んだ。
私の気持ちが、翠に届くことを、心の中で祈りながら。
〇
朝の光を浴びながら、ベッド上で上半身だけ起き上がる。
そのまま、翠の部屋に聞き耳を立てる。
静かだ。
翠は明日出ていく、と言っていた。
まさか女子中学生の身で、夜明け前に家を出るとは思えないから、出るとしたなら
朝だ。
翠が、部屋を出てきたときに謝ろう。
そう決めて、隣の部屋の様子を伺う。
けれど、いくら待っても、隣の部屋からは何の物音も聞こえてこない。
まさか、家族全員が起きだした後になって、
「これから家出します」
と宣言して出て行く筈もないから、そろそろ行動を起こす頃合なのに…。
唱えた。
『ごめん 翠 お姉ちゃんが悪かった どこにも行かないで』
そう書いたノートの切れ端を、ドアの隙間から差し込んだ。
私の気持ちが、翠に届くことを、心の中で祈りながら。
〇
朝の光を浴びながら、ベッド上で上半身だけ起き上がる。
そのまま、翠の部屋に聞き耳を立てる。
静かだ。
翠は明日出ていく、と言っていた。
まさか女子中学生の身で、夜明け前に家を出るとは思えないから、出るとしたなら
朝だ。
翠が、部屋を出てきたときに謝ろう。
そう決めて、隣の部屋の様子を伺う。
けれど、いくら待っても、隣の部屋からは何の物音も聞こえてこない。
まさか、家族全員が起きだした後になって、
「これから家出します」
と宣言して出て行く筈もないから、そろそろ行動を起こす頃合なのに…。