モンモンとした中で、午前の授業を受けた。
 先生の話した内容など、全くといって良いほど覚えていない。

 今朝押しかけてきた噂好き二人組の情報なら、話半分と思っていればよい。
 だけど、アーちゃんなら信頼できる。
 アーちゃんの言った「見当がついている」の意味が、三笠君の事だったら?
 きっと、私にとって有難くない話に違いない。
 なんだか、アーちゃんの話を聞くのが怖くなってきた。

 お昼休みになった。
「屋上で話そうか」
 とアーちゃんに誘われた。

 二人して、お弁当を手に屋上へ。
 適当な日陰を見つけて腰かける。
「私、回りくどい言い方できないからさ。単刀直入に言う」
 アーちゃんがさっそく口を開く。
 私は、次の言葉を固唾を飲んで待ち構える。
「昨日、町民体育館に行くときに、三笠君が女の子と歩いてるとこを見た」
 えーっ!!
 思わず声が出た。

「近くに牟田口も居たから、今朝、美寿穂が絡まれてたのも、その話じゃない?」
 その通りだ。でも、そんなことより三笠君のことが気にかかる。
「三笠君と一緒にいた子、かなり可愛かったけど、彼女かどうかは分かんないよ」
「…でも、女の子と一緒だったのは…確かなんでしょ?」
「だからぁ! 彼女かどうかなんて、分かんないって!」
「でも…、三笠君が、その子と手を繋いでたって、聞いた」
「確かに私も見たけど…、それだけで、彼女だって決まった訳じゃないでしょ」
 アーちゃんは、そう言ってくれてるけど、私の元気はしぼんで行く。
 ハァ。と大きな溜め息がでる。