同じクラスの三笠《みかさ》聖真《しょうま》君。

 いたって平凡な男子だ。
 背も見た目も普通。整った顔立ちだけども、飛びぬけて美形なわけでもない。
 運動も普通にできるけど、部活はやってないらしい。
 勉強もごく普通。歴史は好きらしいけど。

 でもって、私の片思いの相手。
 片思いといっても、ほんとに私の一方的な憧れ。
 三笠君は、私の気持ちには気づいていないと思う。多分。

 一年生のとき、無理やり文化祭の実行委員をやらされた。
 三笠君は別なクラスの実行委員だった。
 そんなわけで、三笠君とは文化祭の実行委員会で知り合った。
 三笠君、そんなリーダーシップがあるわけじゃない。
 だけど、一緒に委員の仕事をしてると、誠実さや懸命さが伝わってきて、だんだん
好感を持つようになっていった。

 文化祭の前日。文化祭直前なので、どのクラスも殺気立っていた。
 そんな中、時間を過ぎても下校しないクラスに、実行委員が帰宅を促して回った。
 ところが、二年生のクラスを訪れたときに、そのクラスの男子生徒に凄まれた。
 私が泣きそうなって、竦みあがっていると、三笠くんがやってきて助けてくれた。

 私が凄まれたショックで、泣きそうになっていると。
「気にしないで。きっと、みんな疲れて殺気だってるんだ、濱野さんは、悪くない。
濱野さんが、一生懸命なのはみんな分かってるよ」
 と慰めてくれた。
 その時からかな。好感が好意に変わっていったのは…。