「無視しないでよ、ほんとに大ニュースなんだからぁ」
 と私を顔を覗きながら二人でニヤニヤ笑いをする。
 ほんと、嫌いだ。この子たち。
「聖真《しょうま》くんの話なんだけど、聞きたくない?」

「えっ!」
 三笠君の名前が出て、私の唇が思わず反応する。
 この人たちから、三笠君の名前が出るとは予想外だった。
 てか、三笠君のことを、気安く「聖真くん」なんて呼ばないでほしい。

「ホラ、ホラ、ホラ。やっぱり興味あるんでしょ」
 と百合華が畳み掛ける。
「べ、べつに」
 と言ってはみたが、声が上ずっているのが自分でもわかる。

 百合華と朱美が目配せし合っている。
 私の反応を楽しんでるんだ。
 まったく、嫌な人たちに捕まった。

「昨日、朱美が見たんだって。聖真くんの彼女」
 私の体が、またピクンと反応してしまう。
「聖真くんと女の子が手を繋いでるとこ見たんだ。すっごく可愛い彼女だったよ」
 朱美が、真面目な顔で報告する。
 この子も、内心ではほくそ笑んでいるのが、私にはわかる。

「……そ、そうなの……。そういうの、あんまり関心ないけど」
 内心の動揺を抑えて、無関心を装う。
「またまた~、興味ないフリして~。先を越されて悔しいとか思ってるんでしょ」
「……別に……」
 と強がって見せる。

 朝から嫌な人たちに、聞きたくもない話を聞かされた。
 居なくなってしまいたい。ここから。