翠、翠。
 私、なんで翠のこと忘れちゃってたんだろ。
 なんで、今までミドリが猫だなんて、思ってたんだろ。

 ミドリが猫。翠が猫。
 そうか、翠は家出したんじゃない。
 翠は猫になったんだ。
 翠が猫に。
 そのことに気がつくと同時に、私はある衝撃の事実を思い出す。
 
 翠を猫にしたのは、私だ。
 私が翠を猫に変えたんだ。
 私が、そう願ったんだ。翠を猫にして下さいって…。

  *****

「儂を助けてくれた御礼に、お前の願いを三つ叶えてやろう」
「私の願い?」
「そう、猫に関する三つの願い」
「…それなら…、妹の翠を猫にして下さい」