通りから公園に入る。
 そこで息が停まった。
 中学生くらいの女の子が、公園の奥のベンチでうなだれている。
 隣には高校生位の男性がいて、その女の子に向かって何事か話しかけている。
「翠!」
 と叫ぶ。
 その声に反応して二人が顔を上げる。
 それは、まさに翠だった。
 しかも、隣の男性は三笠くん。
 一挙に緊張の糸が解ける。
 目から涙が溢れ出る。
 足の力が抜ける。
 翠に向かって二、三歩すすんだところで、私は掌で顔を覆って泣き出した。

「お姉ちゃん!」
 翠が駆け寄って来た。
「大丈夫? お姉ちゃん。足、怪我してるよ」
 その問いには答えず、翠を力いっぱい抱きしめる。
「翠。ごめんね。みんな、お姉ちゃんが悪かった。だから、何処にもいかないで」
「お姉ちゃん…」
 私は翠をもう二度と離すまいと、腕に力を込める。
 翠も私を抱き返す。
 翠と私は、溶け合っって一つの物になってしまう程に、強く強く抱きあった。