「ちゃんと聞いてよ!!」
大声を張り上げる。
「どうしたの二人とも。大事な娘が家出したんだよ。何で、落ち着いてられるの」
お父さんが、顔をあげて私を見る。
お母さんが、心配顔で傍にやってくる。
私の真剣さが伝わらない。もどかしさを通り越して悔しい。
その悔しさが、滴になって頬を伝う。
「大事な娘って…、美寿穂。美寿穂は、ちゃんとここに居るじゃない」
お母さんが私を抱きしめ、私の背中を撫でさする。
「私じゃない…、翠が…、翠が…家出したの…」
「ミドリが居ないのが心配なの? でも、ちょっと近所を散歩してるだけよ。すぐに
帰ってくるわよ」
「違う。違うの。翠は本気。自分の部屋の物を全部運び出したみたいだし、靴だって
全部なくなってるし…」
「ミドリの部屋? 靴?」
お母さんが疑問文のアクセントで応じる。
大声を張り上げる。
「どうしたの二人とも。大事な娘が家出したんだよ。何で、落ち着いてられるの」
お父さんが、顔をあげて私を見る。
お母さんが、心配顔で傍にやってくる。
私の真剣さが伝わらない。もどかしさを通り越して悔しい。
その悔しさが、滴になって頬を伝う。
「大事な娘って…、美寿穂。美寿穂は、ちゃんとここに居るじゃない」
お母さんが私を抱きしめ、私の背中を撫でさする。
「私じゃない…、翠が…、翠が…家出したの…」
「ミドリが居ないのが心配なの? でも、ちょっと近所を散歩してるだけよ。すぐに
帰ってくるわよ」
「違う。違うの。翠は本気。自分の部屋の物を全部運び出したみたいだし、靴だって
全部なくなってるし…」
「ミドリの部屋? 靴?」
お母さんが疑問文のアクセントで応じる。