閉店後ということもあり、可愛らしい白猫の姿で札束を数えている姿は、まるでぬいぐるみのようだ。


「まぁそんなところです。坂部くんってどうしてあんな感じなんだろう……」

「あんな感じ、とは?」

「冷たいっていうか、人の気持ちを考えてないっていうか。ミーコさんや京子さんはそんな感じじゃないから、あやかしが冷たいんじゃなくて、坂部くんが冷たいんだろうけど」

「ギンさんが冷たい、ですか……?」

「そうですよ、ミーコさんも思いませんか?」

「……どうでしょう」

 てっきり同意を得られるものだと思っていたが、私の問いかけにミーコさんは少し渋るような口調だ。


「私はギンさんはとてもお優しい方だと思います」

 さらにはそんな風に言われてしまい、私の一人よがりだったように感じて、少し悲しくなる。


「そうですか。何だかすみません……」


 一人グチグチ文句を言ってるみたいで、きまりが悪い。

 居心地の悪さから残ってる業務に戻ろうと思ったところで、再びミーコさんの声が耳に届く。


「実は、ギンさんは私を拾ってくれた恩人なんです」

「……え?」

「私、元々捨て猫だったんです。まだ私があやかしになる前、もう何十年も前のことですけど」


 ミーコさんが、あやかしになる前……。つまり、普通の猫だったときのことなのだろう。