聞こえてしまったこと自体を責めるつもりはない。けれど、私たちの話を聞いた上でその切り捨て方はないだろう。
「……でも、浜崎さんは明美に退部届けを手渡したあと、吹奏楽部の演奏をこっそり体育館で見てたんだよ? しかも涙まで流して」
「泣くほど吹奏楽部が嫌いになったんじゃないのか?」
「そんなに吹奏楽部が嫌いになったなら、そもそも演奏なんて聴きに行かないでしょ、普通。吹奏楽部の演奏を聴きに行くかどうかは、うちの文化祭では必須じゃないんだし」
「そんなの俺に言われても知るかよ」
坂部くんはうるさそうに私に近い方の耳の穴を塞ぐように、彼の細長い小指を突っ込んだ。
本当に失礼しちゃう。
「客だ。ちゃんとやれよ」
坂部くんがドアの方を見てそう呟いたあと、カランコロンとカフェのドアのドアベルが鳴る音が聞こえる。
坂部くんは「いらっしゃいませ」と一言発して、厨房の方へ戻っていった。
「一名様、ご来店です」
ドアの方を見ると、さっきまで外で窓を拭いていたミーコさんが、一人の女子学生を連れて入ってくる。
なんと馴染みのある制服は、うちの学校のものだった。
「いらっしゃいま……えっ?」
「……でも、浜崎さんは明美に退部届けを手渡したあと、吹奏楽部の演奏をこっそり体育館で見てたんだよ? しかも涙まで流して」
「泣くほど吹奏楽部が嫌いになったんじゃないのか?」
「そんなに吹奏楽部が嫌いになったなら、そもそも演奏なんて聴きに行かないでしょ、普通。吹奏楽部の演奏を聴きに行くかどうかは、うちの文化祭では必須じゃないんだし」
「そんなの俺に言われても知るかよ」
坂部くんはうるさそうに私に近い方の耳の穴を塞ぐように、彼の細長い小指を突っ込んだ。
本当に失礼しちゃう。
「客だ。ちゃんとやれよ」
坂部くんがドアの方を見てそう呟いたあと、カランコロンとカフェのドアのドアベルが鳴る音が聞こえる。
坂部くんは「いらっしゃいませ」と一言発して、厨房の方へ戻っていった。
「一名様、ご来店です」
ドアの方を見ると、さっきまで外で窓を拭いていたミーコさんが、一人の女子学生を連れて入ってくる。
なんと馴染みのある制服は、うちの学校のものだった。
「いらっしゃいま……えっ?」