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「いらっしゃいま……っ、京子さんに綾乃さん。一緒にいらしたのですか?」

 京子さんとともに寄り道カフェの店内に現れた私に、ミーコさんが大きな猫目を見開いた。


「ええ、綾乃とはそこで一緒になって」

「はい」


 京子さんは私の肩を親しげにパシパシと叩く。

 出すぎた真似をしてしまったとばかり思っていたが、どうやら京子さんはそんな私を気に入ってくれたようだ。


「今日は私が綾乃の分も奢るわ。何か、こう、気分が晴れ晴れするようなケーキが食べたいのだけど、本日のケーキは何かしら?」

「うふふ。そろそろそう言ってお店に来られる頃だと思っておりました。それならば、ぴったりのメニューをご用意しておりますよ」

「さすがはミーコちゃん。じゃあ二つお願いね」


 トントン拍子に決めていってしまう京子さんに、思わず声をかける。

「あ、あの……っ」

「ああ、ごめんなさいね。綾乃、ドリンクの希望は?」

「えっと、じゃあカフェオレで」

「じゃああたしはいつものアイスミルクティーね」

 ミーコさんは私たちのオーダーを取るなり、厨房の奥へと消えていく。