妖術とかという不思議な魔法のような物を使えたり、獣の姿になったり、人間とあやかしは全く違う部分もある。

 一方で、笑ったり、怒ったり、悩んだりする姿を見ていると、人間と大して変わらないように見えるんだ。

 もしかしたらあやかし側が人間に意図的にそう見えるように動いているのかもしれないが。


「まぁ。少なくとも寿命は人間の何倍も生きますね。純血のあやかしだと、人間の十倍は生きます」

「じゅ、十倍……」

 何だか想像がつかない。

 けど、そういうことは、ミーコさんも坂部くんも、あやかしの中では若い方なのだろう。


「人間の世界で生きる場合、暮らしに関してはこちらが人間に合わせて暮らせばいいのですが、寿命だけはどうしようもありません。人間は年老いていっても、私たちは同じ速度では老いないのですから」

「じゃあ、長く一緒にいると不自然に思われてしまう……」

「いえ、あやかしが人間の年齢に合わせて姿を変化させていけばいいので、実際にはなんとかなるんです。実際に、それで人間側が年老いるまで一緒に居たという方たちもたくさんいますし、実際に私もそういう方に何人かお会いしたことがあります」


 それを聞いて、思わずホッとした。

 せっかく出会えたあやかしといい関係が築けても、別れを余儀なくされてしまうのは寂しいから。