「京子さん、大丈夫かな……?」
そこまで考えて、ふと、結局浮かない顔のまま店を出ていった京子さんの姿が思い返された。
甘いものを求めて入ってくるお客さんは、みんな疲れていたり、嫌なことがあったり、浮かない顔をして入って来る反面、出ていくときは甘いもので癒されて、強ばっていた表情筋が緩んいる人がほとんどだ。
京子さんだって、恋人に振られたという嫌なことがあった中、きっと甘いものを食べて癒されたくてここに来たはずだ。
それなのに、結局京子さんは最初から最後までつらそうな表情のままだった。
「京子さんのことがそんなに心配ですか?」
そのとき、私の後ろの作業台を消毒していたミーコさんが、こちらにやって来る。
「……ミーコさん。そうですね、結局、京子さんの力になれなかったのかなって」
「そんなことないですよ。きっと京子さんの中では綾乃さんに話を聞いてもらえたことは、ひとつの支えになっていると思いますよ」
「そうだといいんですけど……」
「綾乃さんは考えすぎですよ。失恋してすぐに立ち直れという方が難しいですからね。京子さんがつらいのは、それだけお相手に本気だったからではないでしょうか」
言われてみれば、そうかもしれない。
そこまで考えて、ふと、結局浮かない顔のまま店を出ていった京子さんの姿が思い返された。
甘いものを求めて入ってくるお客さんは、みんな疲れていたり、嫌なことがあったり、浮かない顔をして入って来る反面、出ていくときは甘いもので癒されて、強ばっていた表情筋が緩んいる人がほとんどだ。
京子さんだって、恋人に振られたという嫌なことがあった中、きっと甘いものを食べて癒されたくてここに来たはずだ。
それなのに、結局京子さんは最初から最後までつらそうな表情のままだった。
「京子さんのことがそんなに心配ですか?」
そのとき、私の後ろの作業台を消毒していたミーコさんが、こちらにやって来る。
「……ミーコさん。そうですね、結局、京子さんの力になれなかったのかなって」
「そんなことないですよ。きっと京子さんの中では綾乃さんに話を聞いてもらえたことは、ひとつの支えになっていると思いますよ」
「そうだといいんですけど……」
「綾乃さんは考えすぎですよ。失恋してすぐに立ち直れという方が難しいですからね。京子さんがつらいのは、それだけお相手に本気だったからではないでしょうか」
言われてみれば、そうかもしれない。