普通のカフェと比べて営業時間が短いのは、店主の坂部くんが高校生をやっていることも理由なのだろう。
土日のことはわからないけど、少なくとも平日はそれほど混み合っているわけではない。
メニューの価格帯も商店街にある他のカフェや喫茶店よりも抑えられていて、それで坂部くんやミーコさんの生活が成り立っていけるのか少し心配になった。
けれど坂部くんとミーコさんいわく、あやかしの生活は人間とは違うから心配はいらないそうだ。
むしろ、そんな心配をするくらいなら早く仕事に慣れろと言われた。
厨房に続く通路の奥にひとつ扉のついた部屋があるのだが、そこが寄り道カフェのいわゆるスタッフルームとなっている。
学校から寄り道カフェに直行した私は、そこでミーコさんが着ていたのと同じ、黒いワンピースと白いフリルのあしらわれたエプロンを身に着ける。
厨房に入ると、すでに白いエプロンを着けた坂部くんがケーキの最後の盛り付けをしているところだった。
ある程度は朝、学校に登校する前に終わらせて、開店前に最後の仕上げをすればいいだけの状態にしているらしい。
「わぁっ、美味しそう~! わっ、とっ、とっ、とっ、と!」
生クリームをふんだんに使ったイチゴのショートケーキを遠目に見て、思わずうっとりと声を上げた。けれどそのとき、何もない場所でつまずいて体勢を崩してしまい、身体が大きく斜めに傾いた。同時に、私に気づいた坂部くんの目が大きく開かれる。
せっかくのケーキを潰してしまうと思ったけれど、瞬時に坂部くんが頭上に手を振り上げた。瞬間、私の身体はふわりと浮いた感覚とともに、その場に何事もなかったかのように着地した。坂部くんのあやかしの力(妖術というらしい)によるものだ。
土日のことはわからないけど、少なくとも平日はそれほど混み合っているわけではない。
メニューの価格帯も商店街にある他のカフェや喫茶店よりも抑えられていて、それで坂部くんやミーコさんの生活が成り立っていけるのか少し心配になった。
けれど坂部くんとミーコさんいわく、あやかしの生活は人間とは違うから心配はいらないそうだ。
むしろ、そんな心配をするくらいなら早く仕事に慣れろと言われた。
厨房に続く通路の奥にひとつ扉のついた部屋があるのだが、そこが寄り道カフェのいわゆるスタッフルームとなっている。
学校から寄り道カフェに直行した私は、そこでミーコさんが着ていたのと同じ、黒いワンピースと白いフリルのあしらわれたエプロンを身に着ける。
厨房に入ると、すでに白いエプロンを着けた坂部くんがケーキの最後の盛り付けをしているところだった。
ある程度は朝、学校に登校する前に終わらせて、開店前に最後の仕上げをすればいいだけの状態にしているらしい。
「わぁっ、美味しそう~! わっ、とっ、とっ、とっ、と!」
生クリームをふんだんに使ったイチゴのショートケーキを遠目に見て、思わずうっとりと声を上げた。けれどそのとき、何もない場所でつまずいて体勢を崩してしまい、身体が大きく斜めに傾いた。同時に、私に気づいた坂部くんの目が大きく開かれる。
せっかくのケーキを潰してしまうと思ったけれど、瞬時に坂部くんが頭上に手を振り上げた。瞬間、私の身体はふわりと浮いた感覚とともに、その場に何事もなかったかのように着地した。坂部くんのあやかしの力(妖術というらしい)によるものだ。