坂部くんが私の目の前にタルト型の中身をお皿に出してくれる。
急速冷凍をかけたとはいえ、短時間のことだからか凍っている感じではなかった。
けれど、最後に見たときは砕けたビスケットの上にチョコレートを流し込んだだけのように感じていたそれは、冷やされたことによって固まって、見事なチョコタルトになっている。
「このままだと生チョコタルトになるが、今日はフルーツを豊富に仕入れてきているから、好きなだけ飾るといい」
坂部くんの言葉に合わせて、さっき私が切ったフルーツの入った深いお皿をミーコさんから渡される。
「……え?」
「こんな感じに並べると、綺麗に見えますよ」
戸惑う私の横から、ミーコさんが色白の手で私が切ったフルーツを生チョコタルトの上に円に並べていく。
フルーツを手際よく載せていく綺麗な指先はどう見ても人間のものにしか見えなくて、さっき見た白猫の姿が嘘みたいに思える。
でもさっきの出来事があったから、今ケーキを作っている。この事実が、坂部くんやミーコさんが人間でないと知らされた出来事は現実だったことを思い知らされているように感じた。
「ほら、綾乃さんもやってみてください」
「……はい」
いけない。思わず見とれてしまっていたようで、こちらを向いたミーコさんにドキリとしてしまった。
ミーコさんの見よう見まねで、私は残りのフルーツを生チョコタルトの上に載せていく。
急速冷凍をかけたとはいえ、短時間のことだからか凍っている感じではなかった。
けれど、最後に見たときは砕けたビスケットの上にチョコレートを流し込んだだけのように感じていたそれは、冷やされたことによって固まって、見事なチョコタルトになっている。
「このままだと生チョコタルトになるが、今日はフルーツを豊富に仕入れてきているから、好きなだけ飾るといい」
坂部くんの言葉に合わせて、さっき私が切ったフルーツの入った深いお皿をミーコさんから渡される。
「……え?」
「こんな感じに並べると、綺麗に見えますよ」
戸惑う私の横から、ミーコさんが色白の手で私が切ったフルーツを生チョコタルトの上に円に並べていく。
フルーツを手際よく載せていく綺麗な指先はどう見ても人間のものにしか見えなくて、さっき見た白猫の姿が嘘みたいに思える。
でもさっきの出来事があったから、今ケーキを作っている。この事実が、坂部くんやミーコさんが人間でないと知らされた出来事は現実だったことを思い知らされているように感じた。
「ほら、綾乃さんもやってみてください」
「……はい」
いけない。思わず見とれてしまっていたようで、こちらを向いたミーコさんにドキリとしてしまった。
ミーコさんの見よう見まねで、私は残りのフルーツを生チョコタルトの上に載せていく。