すると、すっかり忘れていた現実を突きつけられたようだった。
「うげっ、進路希望調査表……」
高校二年生になってからというもの、やけに進路という言葉を耳にするようになった。
こっちは去年の春に高校受験を終えて、まだ一年半ほどしか経っていないというのに、気が早い話だと思ってしまう。
「さっき私が担任に提出に行ってきたら、まだ綾乃が提出できてないから伝えておけって」
「ええっ!? 明美、もう出しちゃったの?」
「もう、って提出期限今日までだし。いろいろ部活の方がゴタついててギリギリになっちゃったから、綾乃は提出してるものだと思ってたし」
「ええ~」
明美は夏の大会で三年生が引退してから、吹奏楽部の部長を任されている。
それもあってなのだろう。九月に久しぶりに会ってからずっと疲れたような顔をしている明美のことを、私は心配していた。
やっぱり、部長となると大変なんだろうな……。
だけど、それでも先に進路希望調査表を提出していただなんて、何だかちょっとだけ抜け駆けされたような心境だ。
そのとき、廊下の方から「森岡先輩」と明美を呼ぶ声が耳に届く。
見た感じ、明美の部活の後輩の女子たちのようだった。
「うげっ、進路希望調査表……」
高校二年生になってからというもの、やけに進路という言葉を耳にするようになった。
こっちは去年の春に高校受験を終えて、まだ一年半ほどしか経っていないというのに、気が早い話だと思ってしまう。
「さっき私が担任に提出に行ってきたら、まだ綾乃が提出できてないから伝えておけって」
「ええっ!? 明美、もう出しちゃったの?」
「もう、って提出期限今日までだし。いろいろ部活の方がゴタついててギリギリになっちゃったから、綾乃は提出してるものだと思ってたし」
「ええ~」
明美は夏の大会で三年生が引退してから、吹奏楽部の部長を任されている。
それもあってなのだろう。九月に久しぶりに会ってからずっと疲れたような顔をしている明美のことを、私は心配していた。
やっぱり、部長となると大変なんだろうな……。
だけど、それでも先に進路希望調査表を提出していただなんて、何だかちょっとだけ抜け駆けされたような心境だ。
そのとき、廊下の方から「森岡先輩」と明美を呼ぶ声が耳に届く。
見た感じ、明美の部活の後輩の女子たちのようだった。