「つまり綾乃さんはご自身に何もない、と。でもお友達の部活とやらがうらやましいのであれば、綾乃さんも部活とやらをするなり、ギンさんのように働くことを望まれているのであれば働けばいいのではないでしょうか? 学生とはいえ、綾乃さんの年齢ではバイトも可能ではないですか?」

「そうですけど、私には本当に何もなくて……。部活に入るほど得意なものや好きなものがあるわけでもないし、バイトだって同じ学校の生徒にもしてる人はいるけど、私はドジばかりでできそうにないし……」

「そうでしょうか。少なくとも私にはそうは見えません」


 ミーコさんはそう口にすると、私を見つめたまま何かを考えているようだった。

 そして突然パチンと両手を合わせたかと思えば、名案と言わんばかりに口を開いた。


「では、こうしましょう。綾乃さんはここでバイトをすればいいのです」

「えぇえっ!?」

 私が、ここでバイト!?


「だって甘いものがお好きなんでしょう?」

「そうですけど……っ。さすがに無理ですって!」

「無理かどうかはやってみないとわかりません。ちなみにですが、人間のお客様もたくさんいらっしゃいますのでその点は心配する必要はございません」

「いや、それも気にはなってたけど……っ!」

 ミーコさんは、これまでの私の話を聞いていたのだろうか?


「とにかく私には無理です。ケーキだって作ったことないし、きっとドジばかりしてこの店を潰してしまいます……!」