「うん、応援してるよ」

「ありがとう! じゃあ、ミーコさんとギンさんにも報告してくるね!」


 由梨ちゃんは笑顔でそう言うと、寄り道カフェの中に駆けていった。


 人間とあやかしの間にうまれた子どもは、あやかしの世界ではなかなか暮らしていけないから──。

 由梨ちゃんから事情を聞いてしまったから、とてもその言葉が重たい響きに聞こえる。


 けれど、由梨ちゃんがお母さんと新しいお父さんと話し合った結果、自分らしく生きる一歩を踏み出せたというのに、私がこんな悶々とした気持ちじゃいけないだろう。

 私はパンパンと自分の頬を叩いて暗い気持ちを追い出すと、由梨ちゃんのあとを追ったのだった。



 寄り道カフェの中へ戻ると、すでに由梨ちゃんはさっき私が聞いた話をミーコさんにも話しているようだった。

 そこへ坂部くんが本日のケーキを運んでくる。


「あ、綾乃さんも、こっちこっち~!」


 こちらに向かって手を振る由梨ちゃん。優しげに微笑むミーコさん。由梨ちゃんのことで安心したのか、いつもよりも表情が柔らかい坂部くん。

 近くの席ですでに本日のケーキを食べていた京子さんも一緒になって笑っている。

 みんなともに、由梨ちゃんの問題が解決したことを喜び合ったのだった。