「……確かにね、由梨ちゃんの言うとおり、由梨ちゃんの気持ちを伝えることで、お母さんは由梨ちゃんに無理させてたんだって思ってしまうかもしれないし、それによって困らせてしまうかもしれない。でもね、由梨ちゃんに何も言ってもらえない方がつらいんじゃないかな?」
「……そうかな」
「私はお母さんじゃないけど、同じ立場だったらそう思うと思う。前に友達が部活のことですごく悩んでいたんだけど、心配させたくないからって私にはほとんど何も話してくれなかったの。そりゃあ、私は部活に入ってないから完全に部外者なわけだけど、やっぱり寂しかった」
「……」
「だから……って言い方は変かもしれないけど、由梨ちゃんのお母さんも、多分由梨ちゃんの本当の気持ちを知れない方が寂しいんじゃないかな?」
由梨ちゃんは何か考えを巡らせるようにうつむいている。
ちょっとでしゃばったことを言い過ぎただろうか。
そのとき、由梨ちゃんが弱々しい声で口を開く。
「……こういうとき、あやかしの世界で暮らせたら良かったのにっていつも思ってた。お母さん側のお爺ちゃんとお婆ちゃんは二人とも完全なあやかしだけど、私のことを可愛がってくれてるし」
「……え?」
「綾乃さんがギンさんからどこまで聞いてるかわからないけど、一部の純血のあやかしは、あやかしと人間の子どものことを出来損ないって言って嫌ってるの。見た目も能力も中途半端なことが多いから。人間でいう、差別みたいなものかな。だから、私は何があっても人間の世界で暮らさないといけないんだよね」
そういえば、由梨ちゃんが最初に自分のことを話してくれたとき、自分はあやかしでも人間でもないとやけに卑屈な言い方をしていたことを思い返す。
それは、あやかしの世界で受けた扱いや、人間の世界では本来の姿を隠すことを強いられた結果だったのだろう。
「……そうかな」
「私はお母さんじゃないけど、同じ立場だったらそう思うと思う。前に友達が部活のことですごく悩んでいたんだけど、心配させたくないからって私にはほとんど何も話してくれなかったの。そりゃあ、私は部活に入ってないから完全に部外者なわけだけど、やっぱり寂しかった」
「……」
「だから……って言い方は変かもしれないけど、由梨ちゃんのお母さんも、多分由梨ちゃんの本当の気持ちを知れない方が寂しいんじゃないかな?」
由梨ちゃんは何か考えを巡らせるようにうつむいている。
ちょっとでしゃばったことを言い過ぎただろうか。
そのとき、由梨ちゃんが弱々しい声で口を開く。
「……こういうとき、あやかしの世界で暮らせたら良かったのにっていつも思ってた。お母さん側のお爺ちゃんとお婆ちゃんは二人とも完全なあやかしだけど、私のことを可愛がってくれてるし」
「……え?」
「綾乃さんがギンさんからどこまで聞いてるかわからないけど、一部の純血のあやかしは、あやかしと人間の子どものことを出来損ないって言って嫌ってるの。見た目も能力も中途半端なことが多いから。人間でいう、差別みたいなものかな。だから、私は何があっても人間の世界で暮らさないといけないんだよね」
そういえば、由梨ちゃんが最初に自分のことを話してくれたとき、自分はあやかしでも人間でもないとやけに卑屈な言い方をしていたことを思い返す。
それは、あやかしの世界で受けた扱いや、人間の世界では本来の姿を隠すことを強いられた結果だったのだろう。