一週間が経ったこの日も、閉店まで由梨ちゃんの姿は見えなかった。

 私は閉店の十九時半を過ぎたところで寄り道カフェを出る。

 細い路地を抜けて明るい商店街のにぎやかな空間に出たとき、ちょうどスーパーから小学生くらいの女の子が出てきた。


「……っえ、由梨ちゃん!?」

 何気なく由梨ちゃんに似ているなと思って見ていたが、不意にこちらを振り返った拍子に見えたのは、ここ何日も様子がわからなかった由梨ちゃんだ。


「綾乃さん!?」

 由梨ちゃんは、表情を輝かせてこちらに走ってくる。


「どうしたの? もう結構夜遅いけど、一人で買い物?」

「……そんなところです」


 今さっき見た表情は気のせいだったのか、一瞬にして由梨ちゃんの表情がくもる。 


「何かあった?」

「……え?」


 由梨ちゃんにはその自覚はなかったのだろう。

 私の言葉に不思議そうに首をかしげる。


「あ、由梨ちゃん、毎日のように来ていたのに突然来なくなったから、心配してたんだよね」

「ごめんなさい。その、新しいお父さんが出張だったから……。本当は明日まで出張だったんだけど、突然今日までになって、帰ってきちゃったの」

「そうだったんだ。もしかして、それで買い物に?」

「……うん。二人分しか材料用意してなかったから……」