一人ここで考えていても仕方がないし、いつまでも私が京子さんを追いかけていったきり戻らないとなれば、怒られてしまう。

 私はここで考えることを一旦やめて、店内に戻ることにしたのだった。


 寄り道カフェ店内に戻ると、由梨ちゃんはケーキを食べながら、向かいに座るミーコさんと談笑しているようだった。

 本日のケーキは、ショートケーキだ。

 一見シンプルなケーキだが、坂部くんの作る生クリームは甘さ加減が絶妙で、とても美味しい。


 嬉しそうに食べる由梨ちゃんの姿は年相応で、人間の姿だと普通の小学生の子どもと何ら変わりなく見える。

 傍らに立つミーコさんと楽しそうに学校のことを話しているのが少し離れた場所からでもわかった。

 本当に由梨ちゃんとミーコさんは仲がいいみたい。


 そんな二人のことをレジのところで事務作業をしながら微笑ましく見ていたけれど、そうしているうちに他のお客さんが来て、私もミーコさんも本来の業務に戻る。


 一段落したところで窓の外に視線をやると、明るかった外が暗くなってきていることに気づく。

 決してものすごく遅い時間帯というわけではないが、十一月になり、一段と日が短くなったということもあるのだろう。


「由梨ちゃん、時間大丈夫?」


 ケーキを食べ終えた由梨ちゃんは、オレンジジュースを傍らに、学校の宿題をしているようだった。

 由梨ちゃんはあやかしではあるが、小学校にも通っているみたいだし、一般的に見れば小学生だ。あまり遅くなりすぎるのは、よくないだろう。