「この中途半端な姿が私の本当の姿だから」
少し寂しげに微笑む由梨ちゃんは、さっき私があやかしのことも理解していると説明されたことで、今のわずかな説明で伝わると思っているのだろう。
けれど、人間でもあやかしでもない。そんな説明を今まで受けたことのない私にとって、それだけでは説明不足だ。
詳しく聞こうにも、由梨ちゃんは今の間に耳と尻尾を引っ込めて、すでにミーコさんに本日のケーキを注文している。
完全に聞くタイミングを逃してしまった。
一人頭上にはてなを浮かべて困惑していたそのとき、京子さんが静かに席を立った。
「綾乃。あたし、そろそろ帰るわね」
「あ、はい……っ!」
京子さんが席を立ってレジの方へ向かったので、由梨ちゃんの対応をしているミーコさんに代わって、私がレジへ向かう。
少なくともミーコさんは由梨ちゃんと仲がいいみたいだし、差し支えなければ、あとでミーコさんに由梨ちゃんの正体──人間でもあやかしでもない──というのはどういうことかを教えてもらうことにしよう。
いつもと同じ金額を打ち出し、京子さんから千円札を一枚受け取る。
「ありがとう」
「あ、京子さん! お釣り……!」
しかし、京子さんは私がお釣りの小銭を取り出している間に、レジに背を向けて早々とお店を出ていってしまったのだ。
常連の京子さんなら、千円札を出してお釣りがあることは知っているはずなのに、一体どうしたというのだろう。
お釣りを忘れてしまうくらい、急いで帰らないといけない用事があるのだろうか。
少し寂しげに微笑む由梨ちゃんは、さっき私があやかしのことも理解していると説明されたことで、今のわずかな説明で伝わると思っているのだろう。
けれど、人間でもあやかしでもない。そんな説明を今まで受けたことのない私にとって、それだけでは説明不足だ。
詳しく聞こうにも、由梨ちゃんは今の間に耳と尻尾を引っ込めて、すでにミーコさんに本日のケーキを注文している。
完全に聞くタイミングを逃してしまった。
一人頭上にはてなを浮かべて困惑していたそのとき、京子さんが静かに席を立った。
「綾乃。あたし、そろそろ帰るわね」
「あ、はい……っ!」
京子さんが席を立ってレジの方へ向かったので、由梨ちゃんの対応をしているミーコさんに代わって、私がレジへ向かう。
少なくともミーコさんは由梨ちゃんと仲がいいみたいだし、差し支えなければ、あとでミーコさんに由梨ちゃんの正体──人間でもあやかしでもない──というのはどういうことかを教えてもらうことにしよう。
いつもと同じ金額を打ち出し、京子さんから千円札を一枚受け取る。
「ありがとう」
「あ、京子さん! お釣り……!」
しかし、京子さんは私がお釣りの小銭を取り出している間に、レジに背を向けて早々とお店を出ていってしまったのだ。
常連の京子さんなら、千円札を出してお釣りがあることは知っているはずなのに、一体どうしたというのだろう。
お釣りを忘れてしまうくらい、急いで帰らないといけない用事があるのだろうか。