「本日の日替わりケーキのフルーツタルトになります。どうぞ召し上がってください」

「……えっ? でも……」


 紅茶にしろ、ケーキにしろ、私は頼んでないというのに、いいのだろうか?

 紅茶に関しては促されるままに飲んでしまったから、今更どうしようもない。けれどケーキまで食べて、思っていた以上の高額な金額を請求されては困る。そう思って私は机の端においてあったメニューを横目で見る。

 一方で、ミーコさんはそんな私を見てなのだろう。クスクスとおかしそうに笑った。


「先程驚かせてしまったお詫びです」

「ええっ!? そんな……っ」

「いいんです。店主が腕を奮って作った絶品のフルーツタルトですよ」


 ……いいのかな。

 店主というのが誰なのかも気になるし、タルトの上に載ったフルーツのことも気になる。

 目の前のタルトは、フルーツの上にかけられたナパージュによりキラキラと光を反射して見える。

 どうぞと勧められて、フルーツタルトがぜひ食べてと私に微笑みかけているように感じた。

 もう一度、机の端に立て掛けてあるメニュー表を今度はしっかりと見やる。

 すると、基本メニューはひとつ、日替わりケーキとドリンクのセット五〇〇円とあった。

 恐らく私が出してもらったのも紅茶とケーキだから、この日替わりケーキとドリンクのセットなのだろう。

 ケーキとドリンクとセットの割りに高校生の私のお小遣いでも払える良心的なお値段にホッとして、「いただきます」とフルーツタルトをフォークで一口、口に含む。