坂部くんはあやかしだ。私とは住む世界が違う。
けれど、それが坂部くんを好きになってはいけない理由にはならないことを、私は知っている。
現に、京子さんは元カレも新しくできた好きな人も、人間だ。
あやかしと人間の恋が成立してしまうことを、私は見てきたのだから。
だからなのだろうか。
私は、明美の問いをすぐに否定することはできなかった。
遅れて否定したものの、それをネタに明美にからかわれたのは言うまでもない。
*
「もう、明美ったら、仕返しとばかりに私のことからかって……」
明美にとっては、バイトだけでなく坂部くんのこともダブルで私が黙っていたことが少なからず気に障ったようだ。
放課後まで散々同じネタで私をからかい続けた明美は、最後はスッキリしたような表情で部活に向かった。
それに反して、私は一日からかわれてくたびれましたよ……。もとはと言えば、私が黙っていたのが悪いんだけど。
けれど、明美が軽やかに笑う姿は浜崎さんのことで悩んでいる間は見られなかったので、その点に関しては思わずホッとしたのだった。
今日も寄り道カフェのバイトがある私は、学校を出るとバイト先に歩いて向かった。
明美にからかわれたからなのだろうか。商店街が近づくにつれてドキドキとやけに胸が音を立てる。
同時に、考えたくなくても坂部くんの姿を脳内に思い浮かべてしまう。
けれど、それが坂部くんを好きになってはいけない理由にはならないことを、私は知っている。
現に、京子さんは元カレも新しくできた好きな人も、人間だ。
あやかしと人間の恋が成立してしまうことを、私は見てきたのだから。
だからなのだろうか。
私は、明美の問いをすぐに否定することはできなかった。
遅れて否定したものの、それをネタに明美にからかわれたのは言うまでもない。
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「もう、明美ったら、仕返しとばかりに私のことからかって……」
明美にとっては、バイトだけでなく坂部くんのこともダブルで私が黙っていたことが少なからず気に障ったようだ。
放課後まで散々同じネタで私をからかい続けた明美は、最後はスッキリしたような表情で部活に向かった。
それに反して、私は一日からかわれてくたびれましたよ……。もとはと言えば、私が黙っていたのが悪いんだけど。
けれど、明美が軽やかに笑う姿は浜崎さんのことで悩んでいる間は見られなかったので、その点に関しては思わずホッとしたのだった。
今日も寄り道カフェのバイトがある私は、学校を出るとバイト先に歩いて向かった。
明美にからかわれたからなのだろうか。商店街が近づくにつれてドキドキとやけに胸が音を立てる。
同時に、考えたくなくても坂部くんの姿を脳内に思い浮かべてしまう。