「それなら大丈夫です」

 ミーコさんがにこりと笑って、窓の外に向かって手の平を向ける。

 それと同時に目の前が明るくなったかと思えば、殺風景だったお店の前があっという間にガーデンテラス風になってしまった。


 そこには、いつの間にか八つの白い丸テーブルが置かれ、それぞれに白い椅子が四脚ずつ置かれている。

 すでに辺りは薄暗くなっていたこともあり、辺りを照らす電飾まで施してあった。


 ……まさか、妖術?

 日頃顔を合わせている姿形が人間であることから、あやかしというより、魔法使いに思えてくる。


「私はギンさんを手伝って参りますので、綾乃さんは外の方の最終的なセッティングをお願いします。来られましたら中に声をかけてください」

「はい!」


 店の外に出てみると、ミーコさんの妖術によりすでに完璧にセッティングされているのが目に入る。

 完璧すぎて、私は何をやればいいのだろう。


 さすがに外で突っ立ってるわけにいかず、ガーデンテラスを見回していると、商店街へと繋がる路地の方から人の声が聞こえた。

 もしかして、来られた……!?

 ミーコさんの話しぶりから、団体さんはすぐ来るんだろうなとは思っていたが、まさかこんなに早くに来られるとは思わなかった。


「いらっしゃいま……ええっ!?」

 振り向いた先を見て、思わず顔がひきつるのを感じる。