改めてカフェ店内を見回す。

 木目調の床と壁からウッドハウスのような印象を感じさせられる店内は、木製のテーブル席が四つ置かれている。それぞれにお揃いの椅子が四脚ずつ置かれていて、店の中全体は統一感があった。


 奥に続く通路の先に厨房があるようで、食器の音が微かに聞こえている。

 そして通路の手前の窓側の席のところが、坂部くんが黒髪ロン毛になって、三角耳がついて、さらには腰から黒のモフモフが生えるのを見た場所だ。


「さっきは驚かせてすみません。少し、落ち着かれましたか?」

「え、は、はい……っ」


 不意に聞こえた高い声に思わず背筋を伸ばすと、何かを乗せたお盆を持ったミーコさんは、ふふっと笑ってこちらに向かって歩いてくる。

 ここに来たときに見た不思議な出来事を思い返していたから、気づかなかった。


「わぁ……っ!」


 ミーコさんに白い皿に乗った一切れのフルーツタルトを出されて、思わず視線を奪われる。

 そこにはメロンや洋梨、みかんなどの果物がふんだんに載っている。

 それらのフルーツを見て思い起こされるのは、ここに来る前に見た坂部くんが袋一杯にフルーツを入れた買い物袋を下げていた光景だ。

 これは坂部くんが買って帰ったフルーツで作っているのだろうか?