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 それから、金曜まで毎日バイトに出たが、浜崎さんが寄り道カフェに姿を見せることはなかった。

 坂部くんの話によると、土日も浜崎さんが寄り道カフェに来ることはなかったらしい。

 そうそうカフェに通い詰める人もいないだろうけど、あんな風に拒絶されたあとだからというのもあって、余計に気になる。


 明美は特に浜崎さんの話をしてこないから、浜崎さんから私のことを何か言われているということはないのだろう。

 全く何でもないように振る舞っているけれど、明美は時々少し考えるように外を見ていることがあって、やっぱり浜崎さんのことが気になっているんだろうなと感じる。


 学校でも文化祭の日以来、全く浜崎さんの姿を見かけていない。

 学年が違うから、たまたま見かけないだけなのかもしれないけれど。


「よし、これで完了」


 月曜日の朝、美化委員をやっている私は、早くから学校に登校していた。

 美化委員は基本的には楽な委員会ではあるが、一学期の間に数回、美化当番がまわってくる。

 美化当番の仕事は、朝早くに登校して、学校中に生けてある花瓶の花と水の交換をすることが主だ。


 手際よく終えられたようで、まだ教室や廊下は閑散としている。

 運動場の方から運動部の朝練の声が聞こえてくるくらいだ。

 朝のSHRまでまだ時間があるし、明美もまだ来る時間じゃない。教室に戻ったら少し寝ようかな。

 職員室で美化当番の仕事を終えたことを報告した私は、そんなことを考えながら自分の教室に向かって廊下を歩く。