「……ありがとうございます」
ガマガエルさんはにへらと笑うと、ケーキに手を伸ばす。
表面上ではわからないけど、ガマガエルさんもこの場所を求めて寄り道カフェに来ているのかもしれないと思えば、少しでも甘いものに癒されていってほしいと思う。
そのとき、カランコロンとドアベルの鳴る音が軽快に響く。
「いらっしゃいま──っ」
一瞬、息を呑んだ。
そこには、制服姿の浜崎さんが控え目な様子で立っていたのだから。
「こちらにどうぞ」
ミーコさんが店内の音楽を用意していたCDのものに切り替えたようで、さっきまで店内に流れていたヒーリング系の音楽が吹奏楽の演奏に変わる。
「おっ、たまにはこういう曲もいいね~!」
それに反応した何も知らないガマガエルさんが、呑気に呟く声が少し離れたところから聞こえる。
「本日のケーキですが、ベリーのタルトになります。ドリンクはどうされますか?」
一度は席に座った浜崎さんだったけれど、すぐに何も言わずにその場を立つ。
「すみません、私、帰ります」
そして、肩にかけていた鞄の紐をグッと強く握った直後、浜崎さんは震える声でそういって、私を押し退けて店の外に向かって走り出した。
「あ、ちょっと……っ!」
今流れている吹奏楽の曲は、浜崎さんが部活に来られなくなった原因となった曲ではない。例の曲は、この次にかかる予定だったのだから。
それなのに逃げ出されるなんて、思いもしなかった。
やっぱり私のやり方は荒療治過ぎて、自分本位でしかなかったのだろうか。
ガマガエルさんはにへらと笑うと、ケーキに手を伸ばす。
表面上ではわからないけど、ガマガエルさんもこの場所を求めて寄り道カフェに来ているのかもしれないと思えば、少しでも甘いものに癒されていってほしいと思う。
そのとき、カランコロンとドアベルの鳴る音が軽快に響く。
「いらっしゃいま──っ」
一瞬、息を呑んだ。
そこには、制服姿の浜崎さんが控え目な様子で立っていたのだから。
「こちらにどうぞ」
ミーコさんが店内の音楽を用意していたCDのものに切り替えたようで、さっきまで店内に流れていたヒーリング系の音楽が吹奏楽の演奏に変わる。
「おっ、たまにはこういう曲もいいね~!」
それに反応した何も知らないガマガエルさんが、呑気に呟く声が少し離れたところから聞こえる。
「本日のケーキですが、ベリーのタルトになります。ドリンクはどうされますか?」
一度は席に座った浜崎さんだったけれど、すぐに何も言わずにその場を立つ。
「すみません、私、帰ります」
そして、肩にかけていた鞄の紐をグッと強く握った直後、浜崎さんは震える声でそういって、私を押し退けて店の外に向かって走り出した。
「あ、ちょっと……っ!」
今流れている吹奏楽の曲は、浜崎さんが部活に来られなくなった原因となった曲ではない。例の曲は、この次にかかる予定だったのだから。
それなのに逃げ出されるなんて、思いもしなかった。
やっぱり私のやり方は荒療治過ぎて、自分本位でしかなかったのだろうか。