きっとこんな私を見て、坂部くんは私のことを何てバカな奴だろうと思っているのだろう。


「その心配はいらない。浜崎さんはきっと、いや、必ず寄り道カフェに来る」

 けれど、聞こえたのは思いもかけない言葉だった。


「……え?」

「何たって俺が営業してるカフェだからな。この場所には、ココを必要としている客が来るようになっている」

「何それ」

「ま、一応あやかしの経営する店だからな。そこに俺らの介入が必要かどうかは客によるがな」


 何だかわからないけれど、すごい自信だ。

 でも、ミーコさんや京子さんも前に似たようなことを言っていた。

 ここを必要としているだとか、なんとか。


 これも、坂部くんの持つあやかしの力によるものなのだろうか。

 わからないけど、何となく坂部くんが適当なことを言っているようには思えなくて、私はそれを信じて浜崎さんを待つことにした。



 そして、それから五日が過ぎる。


「そういや、まだ来ないの? あの子」

 こちらの事情もバッチリ把握して、お気に入りのアイスミルクティーを口にしながらそうたずねるのは、京子さんだ。


「……はい。学校では時々見かけるんですけど」

「状況は変わってないのよね?」

「はい。特に親友からは、浜崎さんが部活に戻ってきたとは聞いてないです」

「そっかぁ。あたしもあの子はそのうちまたココに来る気がするけど、待つだけってのもつらいわね」

「はい……」