夏休みが明けて一週間が過ぎる。
「暑い~、溶けそう……」
九月になったというのに、まだまだ夏は終わらせないとでも言われているようだ。
夏休み気分が抜けない中、六時間もの授業を受けるのはなかなかつらいものがある。
ようやく放課後を迎えたが、体感としてはもっと長い時間学校に拘束されていたような感覚さえある。
部活にも入っていないのだから、本当ならすぐにでも荷物をまとめて帰ればいいのだが、身体が動こうとしない。
けれど、いつまでも机から離れようとしない身体は、突如、想定外の刺激によってその場に飛び上がった。
「ひゃあっ! あ、明美……っ」
──冷たっ!
私、立石綾乃は、たった今私の目の前に立った親友の森岡明美の姿を見やる。
どうやら今、背筋に感じたひんやりとした感触は、明美の片手に握られたお茶の入ったペットボトルによるものだったようだ。
「もう、何するのよ。びっくりするじゃん」
「だって綾乃、放っておいたらいつまでもそこで突っ伏してそうだったんだもん」
「さすがにそんなことはしないよ」
すっかりと動くようになった身体で手早く荷物をまとめる。すると、今鞄の中に入れたはずのクリアファイルが明美によって引き抜かれた。
私が何かしらの言葉を口にするより先に明美はその中から一枚のプリントを取り出して、私の目の前に突きつけた。
「……えっ?」
「これ、提出期限、今日までだよ」
近すぎて見えない……。
私は顔スレスレに近づけられたその紙を手に取って、見える位置に持ち直す。
「暑い~、溶けそう……」
九月になったというのに、まだまだ夏は終わらせないとでも言われているようだ。
夏休み気分が抜けない中、六時間もの授業を受けるのはなかなかつらいものがある。
ようやく放課後を迎えたが、体感としてはもっと長い時間学校に拘束されていたような感覚さえある。
部活にも入っていないのだから、本当ならすぐにでも荷物をまとめて帰ればいいのだが、身体が動こうとしない。
けれど、いつまでも机から離れようとしない身体は、突如、想定外の刺激によってその場に飛び上がった。
「ひゃあっ! あ、明美……っ」
──冷たっ!
私、立石綾乃は、たった今私の目の前に立った親友の森岡明美の姿を見やる。
どうやら今、背筋に感じたひんやりとした感触は、明美の片手に握られたお茶の入ったペットボトルによるものだったようだ。
「もう、何するのよ。びっくりするじゃん」
「だって綾乃、放っておいたらいつまでもそこで突っ伏してそうだったんだもん」
「さすがにそんなことはしないよ」
すっかりと動くようになった身体で手早く荷物をまとめる。すると、今鞄の中に入れたはずのクリアファイルが明美によって引き抜かれた。
私が何かしらの言葉を口にするより先に明美はその中から一枚のプリントを取り出して、私の目の前に突きつけた。
「……えっ?」
「これ、提出期限、今日までだよ」
近すぎて見えない……。
私は顔スレスレに近づけられたその紙を手に取って、見える位置に持ち直す。