【 第二十三章 】
あの日……、そう、レミがワイリー・フラウの連中に連れ去られて以来……、レミは不登校に成っていた……、あれから3日が経《た》つ……。
「おぃ、レミちゃん今日も休みだな? 何かあったのか?」
と、心配げな様子の箕屋本《みやもと》。
「…………」
「オマエ、何か見舞いに行ってやったりした方がイイんじゃないのか? 元彼氏だろ?」
「うん、まァ……、気には掛けてはいるよ、気には……」
何処に連れ去られてしまったのか、ワカラナイが「夢の世界の中」でレミがどっかで捕《つか》まっているのは確かだ……、モバイルで連絡はして見るモノの……「既読」には成るが返信は無い……、とりあえず、ヒドイことをされて「昏睡状態」に陥っているというワケでは無さそうだった……。
「何とか成らネェのかよ、オレにとっては1日1回は、あのレミちゃんのスマイルに癒されるのが日課だったっていうのによ」
なんだ、その身勝手な習慣は……とも、想ったが、一応コイツなりにレミの身を案じてくれているらしいコトは確かなようだ……。
「人には色々事情があるだろ? レミは今、人には言えないような「辛い想い」を抱え込んでしまっているんだよ、きっと……」
「オマエの連絡にも返事くれないのか?」
「うん……」
「よしじゃ、オレがオマエの代わりとして、連絡、ソレかお見舞いをしてレミちゃんを元気付けてやる、そしたらレミちゃんの中でのオレの株は上がるだろ? いやがおうにもよ」
などと言っている箕屋本《みやもと》……、ったく能天気なヤツだ……、そんなんで「復帰」してくれるってんなら、とっくにレミは「復帰」しているよ……、アイツは今、学校どころの状態じゃない……、潜在意識をワイリーの連中にガッチリ抑えられていて、おそらく飯も喉を通らないような虚脱《きょだつ》してしまった、空っぽの人形のような状態に成ってしまっているんだろうなァ……?と、そんなコトを想い巡らせていた……。
だが、箕屋本《みやもと》の言う通り、このまま放っておくワケには行かない……、助けに行かなくちゃ……でないと本当にレミは……、いつかきっと「廃人」にされてしまうかもしれない……。
「オマエの力が必要に成るときには、そう言うから、少しだけ時間をくれ……」
と、箕屋本《みやもと》に告げるオレ。
「本当か? レミちゃん、このままずっと不登校なんてコトには成りはしないだろうな?」
と、心配げな様子の箕屋本《みやもと》、レミに好意を寄せているというのもあるのかもしれないが……、一応、一クラスメートとして……本気でレミの身を案じているようだった……、何とかしないと……。
「まァ、やるだけやってみるよ、ソレで失敗するようなコトがあれば、ひょっとしたら……」
「ひょっとしたら? なんだよ」
と、不安げにオレを見る箕屋本《みやもと》。
「このオレも……、不登校するように成ってしまうかもしれない……」
「なっ、なんだよソレ! オマエ達一体どう成っているんだっ!? 何かイヤなコトがあるんならよ、遠慮無く言ってくれよ、助けに成れるかまではワカラナイが、話を聞く位のコトは出来るんだぜ? 人に悩みを打ち明けるっていうのは、想った以上に気持ちを楽にする効果があるんだ、何でも言ってくれよな?」
箕屋本《みやもと》……、いいヤツだな? オマエって本当に……、オマエがクラスメートに居てくれて本当に良かった……と、改めてそう感じているオレが居た……。
「ありがとよ、もし本当に辛いときは真っ先にオマエに相談させて貰うから、そのときは……、どうか一つ本当にヨロシクな?」
「おぅよ、貴重な友人の心の支えに成れるってんならよ? いつだって一肌でも二肌でも脱がせて貰うぜ、今すぐにオマエの前で服を脱いでやってもイイくらいだぜ?」
「何、変なコトを言ってんだよ……」
「いや、オマエが何か元気無いからよ? 少しでもって想って軽い冗談だよ、でもオレはスゴイぜ?」
「何がだよ」
「最近、腹筋始めてよ? 少しだけど、6つに割れて来てるんだぜ? 見るか?」
「いや、いいよ……、男の腹なんか見たかネェよ……」
「そうか、ま、とにかくよ? 何かあるんなら遠慮無く言って来てくれよな? オマエにはオレが付いているんだ、何ていうか安心しろ」
そう、胸を張って言い切る箕屋本《みやもと》……、根拠も何も無いような自信に満ちた言葉だったが……、ソレでもこういう箕屋本《みやもと》のオレのコトを気遣ってくれる気持ちは嬉しかった……。
「うん、そのときは本当……、ヨロシクな?」
「おうよ」
ドン、と、来いってんだ、と、いった表情の箕屋本《みやもと》……、コイツ本当にいいヤツだな? いいクラスメートを持ったモンだ……、だが……レミのコトは……、とにかくこのまま放って置くワケには行かない……。
その夜……、オレはレミが連れ去られた現場である「眠り主」の夢の中にもう一度、行ってみようと決心した……、レミが今、何処に連れて行かれているのかはワカラナイが……、あの「眠り主」の夢がオブストラクトの本拠地と何らかの繋がりがあるのは確かなハズだ……、そして夜に成り、オレはレミと共に戦い続けた数々の戦闘を想い起こし、万全の用意を整えて……、例のブラック・アーマー達が溢れ返っている、あの「夢の中」へと……、もう一度、足を踏み入れて行くのだった……。