【 第十一章 】

「なっ、なんだコイツらっ!? うじゃうじゃ沸いてくるぞっ!!!!」
 見ると、黒いアーマーを装備した兵士みたいな連中が続々とソコら中から現れる。
「おかしぃ……」
「何がだよっ!」
「一人の眠り主が一度にコレだけの人間を頭の中に想い描くのは不可能なはず……、この人よっぽど汚染されている……っ!」
「へっ、なんだか知らネェがっ、やっつけなきゃ成らネェ相手ってコトには変わりネェみてぇだなっ!」
「この人、絶対普通じゃない……っ」
「ふん、だとしたら、ラスボスはきっと、コイツの頭と繋がっているはずだぜ」
「どうやら……、そういうコト……みたいね……」
「なら、話は早ぇコイツらやっつけて、さっさと最後の大ボスさんとやらを拝《おが》みに行こうぜ!」
「ワカッタわ、そうするしか無いみたいね」
 と、コチラに向かい銃を向ける黒いアーマーの兵士達。
「向こうもやる気に成ったみたいだっ! 始めるぞっ!」
「しょうがないみたいね! 行くわっ!」
「そうこなくっちゃァ、行けネェやっ!」

 ズギュ――――ン!、オレの夢想ライフルが火を噴き、直撃したブラック装備のアーマーが吹き飛ぶ! ソレを受けて一斉に反撃を開始する黒い兵士達、大量のレーザー光線がナオト達に向かい放たれる!
「来たぞっ!」
「任せてっ!」
 レミが「夢想防壁」でソレを弾け飛ばす。
「防御は任せた! オレは攻撃に集中するっ! ウォオオオオオオオオっ!」
「了解!」
 オレは、レミの「防壁」に護《まも》られながら、ソコら中に湧き出てくる黒い兵士達に向かって夢想ライフルをブッ放し続ける! が、しかしっ!
「なっ、なんだコイツらっ!? 銃が効かネェぞっ! 撃っても撃っても立ち上がってきやがるっ!」
「どうやら、よっぽど訓練されているらしいわね? この眠り主は…っ!」

 ズギュ――ン! ズギュ――ン! ソレでも構わず夢想ライフルをブッ放し続けるオレ、しかし、その銃弾を浴びて弾け飛びはするモノの、アーマーが強硬なのか、何度も立ち上って襲い来るその黒い兵士達!

「そんだけ、敵の本陣が近づいてるってコトだろ! とにかく、全部やっつけてやるっ!」
「そう考えるのが当たりみたいね……っ!」

「オマエは防壁を強化しろっ、オレは貫通弾に切り替えるっ!」
「そうしてっ! 長くは支えられないっ!」
「ワカッテるよ!」
 頭に貫通弾を放つライフルを想い描く、コレまで何度も戦いを乗り越えて来たオレには戦闘中の装備変更も今と成ってはお手のモノ、すぐに手に持っている夢想ライフルが貫通弾を装填できる新型の夢想ライフルに切り替わる。

「コレでも喰らいやがれっ!!!!」
 ズギュ――――――――ンっ!!!! 強烈な閃光を放ち黒いアーマー達に向かい飛んで行くオレのライフルから放たれた貫通弾、ドシュ――――ッ! 肉が打ち砕かれる音が響き、撃ち抜かれた兵士が消し飛ぶ。
「やったっ! どうやらコイツで正解みたいだっ! 消えろっ! このオブストラクトどもめっ!」
 ズギュッズギュッズギュッズギュッズギュッズギュッ――ン!
 ソコかしこから現れるブラックアーマー達を次々と吹き飛ばすオレのライフル、徐々に敵の数が減って行く。
「あともう少しっ!」
 そのときだった、調子に乗っていたオレが悪かったのか、背後から接近して来ていたアーマーに、コッチが気づくより一瞬早く、羽交い絞めにされ捉《とら》えられるオレっ。
「しまった――っ!」
 捕《つか》まりながら、ジタバタともがいて何とか背後から絡み付いてきたワイリーのブラックアーマーを払いのけ、そいつを撃ち抜いたときのコトだった。

「キャアッ!」
 オレが捕《つか》まって銃を撃てないでいる間に、レミに接近した連中がレミを拘束するっ!

「チキショー! レミ――ッ!」
「ナオトくんっ!!!!」
 レミを拘束している連中に狙いを定めるが、いまだソコかしこから現れる黒いアーマー達を吹き飛ばすのに精一杯で、レミの方まで手が廻らない!

「チキショーッ! コイツらどんだけ居るんだっ! なんなんだっ、この眠り主はっ! 相当汚染されていやがるっ!」
「ナオトくん、逃げて――――っ! 早く眼を覚ましてっ! 捕《つか》まったらダメ――っ!」
「バカっ! オマエを置いて行けるかっ!」
 ズギュッズギュッズギュッズギュッ――――っ!!!!
 周《まわ》りから襲い来るアーマー達を撃ち払いながらレミを拘束し連れ去ろうとしている連中に狙いを定めようとする。

「チキショー、ダメだっ、狙いが定まらネェ! レミに当たっちまうっ!」
「逃げて――っ! 早く眼を覚ましてーっ! このままじゃ二人とも捕《つか》まっちゃう!」
「バカ! オマエを置いていけるかっ!」

 って、言ってもチキショーっ! コイツらしつけぇ! 次々に沸いてきやがる、一体この眠り主はどんなヤツなんだっ! どんだけの夢想力があれば、コレだけの兵を一気に動かせるんだっ! このままじゃ本当にレミを連れて行かれちまうっ!!!!

「ナオトくん! ワタシはイイから逃げて――っ! アナタまで捕《つか》まったらオブストラクトに夢の世界を占領されちゃうっ! イイから逃げて――ぇ!」
「そんなコトをさせるもんか、オレはゼッタイにオマエをっ!」
「キャアっ!!!!」
 レミを拘束している連中の後ろに一機のヘリが着陸し、そのヘリコプターに押し込まれるように連れ去られるレミ!

「レミ――――――――っ!!!!」

 はっ! そして、悪夢を観たときに目覚めるように、ガバッと眼を覚まし起き上がったオレが居た。
「しっ、しまった! 起きちまったァ! レミ……、何処に連れ去られたんだ、チキショー、オレはレミをっ、レミを護《まも》り切れなかった……」

 最後にヘリに連れ込まれていってしまったレミを観つつも周《まわ》りに群がる黒い兵士達を撃ち抜いて居たとき、オレは一つの声を聞いていた……。

 この女は…、いただいていくわ……♪

 確か……、夢の中で最後にそんな、何処か聞き覚えがあるような声が聞こえた気がしていた……。