「海大にずっと黙っててごめん。実は……茜ちゃんは学校を辞めたんだ。その後は行方知らずで俺も会ってない」

「学校……、辞めたんだ……?」

茜ちゃんが見つからなかったのは学校を辞めていたせいだった。思い起こせば、茜ちゃんは同じ学校に通う事を楽しみにしてくれていたから、俺を真っ先に探してくれたはずなんだ。もしも学校に居たら、真っ先に会いに来てくれた。ミヒロちゃんと言う、親友を連れて───……

「……何で学校を辞めたの?」

「茜ちゃんは……、卵巣のう腫と言う病気だったみたいなんだ。体調が悪くなり、御両親が来るまでの時間、一緒に病院に付き添いした事もあった」

「もしかして、それが原因で……妊娠させたって疑われたの?」

「……かもしれないな。茜ちゃんは本当に辛そうだったし、俺も心配だったから、後悔はしてないよ」

「うん、俺が潤兄の立場でもそうすると思う」

俺は潤兄を信じる。

たった一人の兄弟だし、潤兄が嘘をついてるとは思えない。

「こんな事言うのも何だけど……、その、やましい事はした事ないんだ。全くって言えば嘘になるけど……妊娠に繋がるような事は何も、してない」