「潤兄、聞きたい事がある」

自宅に帰ると潤兄が先に帰宅していた。潤兄が嫌な気持ちになるかもしれないけれど、茜ちゃんが妊娠したと言うのが事実かどうかを知りたい。

両親も帰って来てないから、聞くのには良いチャンスだ。

潤兄はスマホから音楽を聞いていたが、ヘッドホンを外し、「うん、いいよ。大体は想像がついてるけどね」と言った。

潤兄が座っているソファーの隣に腰を下ろした。潤兄は「久しぶりだな、二人でソファーに座るの。春休み以来かな?」と言って、穏やかに笑った。潤兄の笑顔が少しだけ見れて嬉しかった。

「今日、同じ学校の先輩だと思うんだけど、茜ちゃんについて聞かれたんだ……」

潤兄は冷静に答えた。

「……そう。もしかして、男子二名?」

「うん、それに女子三人」

「……多分、俺とケンカした二人組。海大、怪我したりしなかったか?悪かったな、巻き込んでしまって…」

潤兄は俺の頭をグリグリと撫で回した。もう子供じゃないのに!と思いながら、潤兄を見ると目に涙が溜まっていた。

「なっさけない事に両腕押さえ付けられて、ケンカも出来なかった。でも、勝てそうになかったから、しなくて良かったけどね。友達が警察官読んできてくれて、無事に済んだ」

「そっか、友達に感謝だな。無事で良かった……」