「お巡りさーん、居ました!こっちで僕の友達がカツアゲされそうになってるんです!」
「こら、君達!学校に連絡するぞ!」

「うわっ、ヤバイって!逃げよっ」
「早く、早く!」

裕貴が警察官を呼んできてくれて、奴らはそそくさと逃げて行った。

警察官にお礼を言い、同じ学校なので連絡しないで欲しいとお願いした。

「……裕貴、有難う。助かった!」

「遅くなってごめんな。真っ先に交番に寄ったら、先客で財布失くした人が居てさー、遅くなった。揉め事になって、停学とかになりたくないじゃん。こんな時は大人の力だよね、海大?」

「ははっ、嫌いじゃないよ、そーゆーの。折角、進学校に入ったのに停学になりたくないもんな」

「海大、俺、お腹空いた……。駅前でハンバーガー食べたい」

「……うん、行こう。それより、何があったとか聞かないの?」

「んー?海大のシャツのボタンが外されてるのは気になるけど……、海大が言いたくなったらで良いよ。何だか、唯ならぬ雰囲気だったけど……、大丈夫?怪我してない?」

「大丈夫だよ……」

裕貴はあっけらかんとしていて、落ち着いている。流石、優等生だ。自分達の身を守りつつ、大人の助けを借りる術も知っている。

俺に何かを聞く訳でもなく、ただ、一緒に居てくれた。中学の友達は一緒に泣いたり笑ったりしていたけれど、裕貴の違った優しさが暖かく感じた。

探してた女の子は兄貴の彼女だと伝えたら、驚いていたけれど……否定はされなかった。裕貴は笑って、「何だか複雑だな」と言った。

高校時代は本当に裕貴に救われた。

共に勉学に励み、共に笑い合った。

出会えて良かったよ、裕貴。