裕貴は明るく、人気者になった。誰にでも分け隔てなく優しくて、スポーツマンで頭も良いので先生からも信頼が厚い。

学級委員を決めた時も投票ダントツ一位になった。真面目君が集まる進学校でこれ程までの人気とは圧倒させられる。裕貴とつるんでいるせいか、俺は副委員長に任命された。

「wヒロ、いーねぇ。二人でこのクラスを盛り上げていってくれよ。勉強も大切だけど、先生も一緒にアオハルしたいから宜しくな」

「あはははっ、先生、面白い」
「楽しくなりそうだねー。このクラスで良かった!」

担任の先生も20代後半で明るいから、クラスの雰囲気が日に日に変わっていった。勉強に根詰めている生徒も居たが、大半が勉強も青春も大切にしていた。

「海大さ、探してる女の子は見つかったの?」

「……見つからない。二学年の教室には立ち入れないし、分からない」

「そっかぁ、残念。俺、海大のタイプの女の子、見てみたかったなぁ…。俺も協力するから諦めないで探そっ」

「ありがとな、裕貴が居てくれて心強い」

数日後の昼休み、弁当を食べながらの会話。一週間経っても、茜ちゃんは見つからない。潤兄はかろうじて学校には通っているが、前みたいな笑顔はなく、茜ちゃんが自宅に遊びに来る事もなかった。

もしかしたら、潤兄は茜ちゃんと別れたのかな?

潤兄の元気がなさすぎて、聞きたいけれど聞き出せない。茜ちゃんの話題は出せない位に、笑わないし、雰囲気も暗い。