───最近、茜ちゃんはイチゴチョコを持ち歩かなくなった。その代わりに缶のドロップを持ち歩き、舐めていた。当然、俺へのお裾分けは缶のドロップに変わった。

「ドロップは何味が好き?私はこの水色が好きなの。色も可愛いし、甘酸っぱくて好き。でも、あんまり水色って入ってないんだよ」

「水色って何味?」

「すももだよ。水色だけが入ってるドロップがあったら良いのにな」

と言って、茜ちゃんは可愛く笑った。

珍しく潤兄と茜ちゃんはリビングで勉強をしていた。いつもなら、二階に上がって二人で勉強をするのに。

潤兄のノートを覗き見すると、俺には何が何だか分からなかった。一年違うだけで勉強内容がこんなにも違うのか?それとも、進学校だから特別難しい?

潤兄は中学受験をして、中高一貫校に通っている。エスカレーター式に男子高まで進学した。
大学進学の為に週に3日位はバイトもしていて、お金を貯めている。

父はサラリーマンだが裕福ではないので、母もパートに出ている。裕福ではないのが分かっているが、俺は勉強が出来ないから、私立高校に行くしかないと諦められているし、自分も諦めている。

潤兄みたいに勉強が好きでもないし、授業中に覚えられる訳でもなかった。