仕方なく行き出した塾の帰り道、通りかかったカフェの窓際に茜ちゃんを見かけた。好きになった人を見つけるセンサーは働きが早く、直ぐに茜ちゃんだと気付く。
潤兄とは違う誰かと一緒に居た。スーツを着ているから、サラリーマンかな?誰だろう?家族関係は聞いた事はないが、兄貴とか親戚の誰かとか……、そんな想像をしながらバス停まで歩いた。
帰宅してから潤兄に聞いてみると……
「茜ちゃんは一人っ子だから、兄弟は居ないと思うよ」
とあっさり言われた。
潤兄は気にする様子もなく、それ以上に聞いてきたりはしなかった。関係性が気になるのは俺だけなのかな?
外側から見えた茜ちゃんは笑ってはいなかったし、泣いてもいなかった。無表情で黙って話を聞いていたようなそんな感じに見えた。
いつもにこにこして笑顔が可愛い茜ちゃんからは想像が出来ない程、感情が消えている表情だった。まるで、何かに絶望しているみたいな顔付き。
その日から、茜ちゃんのあの顔が忘れられなくなった。家に遊びに来ている茜ちゃんはいつも通りに可愛く、あんな顔を見せる事などはなかった。
中学生の俺は何も気付かず、ただひたすらに毎日を謳歌している。その間に魔の手が近付いていた事も知らずに……。
潤兄とは違う誰かと一緒に居た。スーツを着ているから、サラリーマンかな?誰だろう?家族関係は聞いた事はないが、兄貴とか親戚の誰かとか……、そんな想像をしながらバス停まで歩いた。
帰宅してから潤兄に聞いてみると……
「茜ちゃんは一人っ子だから、兄弟は居ないと思うよ」
とあっさり言われた。
潤兄は気にする様子もなく、それ以上に聞いてきたりはしなかった。関係性が気になるのは俺だけなのかな?
外側から見えた茜ちゃんは笑ってはいなかったし、泣いてもいなかった。無表情で黙って話を聞いていたようなそんな感じに見えた。
いつもにこにこして笑顔が可愛い茜ちゃんからは想像が出来ない程、感情が消えている表情だった。まるで、何かに絶望しているみたいな顔付き。
その日から、茜ちゃんのあの顔が忘れられなくなった。家に遊びに来ている茜ちゃんはいつも通りに可愛く、あんな顔を見せる事などはなかった。
中学生の俺は何も気付かず、ただひたすらに毎日を謳歌している。その間に魔の手が近付いていた事も知らずに……。