「ミヒロ君、ってどーゆー漢字を書くの?」

「う、海に大きいでミヒロ……」

「そっか。良い名前だね。私の親友もミヒロちゃんって言うんだよ。心が優しいと書いてミヒロちゃん。本当にその通りの名前の子でね、大好きなんだ」

リビングのテレビを使い、ゲームをしていた俺は驚いた。二階で潤兄と一緒に勉強していた茜ちゃんが一階のリビングに現れたから。ソファーに寝転がってゲームをしていた俺を覗き込み、話をかけてきたのだった。ゲームに夢中で茜ちゃんの足音に全く気付かなかった。話の内容が頭に入らない位にドキドキしている。

「はい、コレ、あげる。イチゴチョコだよ。いつもね、勉強の合間に食べてるの」

茜ちゃんは、ふふっと柔らかく笑って二階に戻って行った。手渡されたイチゴチョコレートの箱は可愛らしいピンク色だった。容姿も性格も可愛いのに、食べ物まで可愛いって何だよ!手渡された箱を見ながら、顔に火照りを感じた。

勿体無いと思いつつも箱を開けて、イチゴチョコレートを取り出す。パキッと食べやすい大きさに割り、口に放り込んだ。少しだけ甘酸っぱさを感じたが、中に入っているサクサクのクランチが絶妙なバランスを醸し出していた。

気付いたら全部食べていた。どんなに想いを抱いても手に入らないもどかしさと恋の甘酸っぱさを感じながら───……