───春休み前、高校一年生のまとめの小テストがあった。休み時間も話す人が居なくなり、参考書を見たりして過ごしている内に、勉強が頭の中に入っていた為、学年一になったのだ。

順位がトップ30まで廊下に張り出された。

紙切れの事を厳重注意された琴音ちゃんと取り巻きは面白くなく、今度はスマホで回覧をまわしていた。

私を見てはクスクスと笑うクラスメイト。

それだけではなく、外履きのスニーカーが捨てられていて中履きのシューズで帰った時もあった。そんな私に気付いた保健室の湯沢先生が車で送迎してくれたが、その様子を見ていた取り巻き達が琴音ちゃんに伝えた。

それからは目に見えるいじめはなくて、言葉による暴力だった。

本当には仲間になんて入れないくせに、クラスで班分けされると琴音ちゃん達と必ず一緒にされる。先生が見えない所でネチネチと言葉の暴力が始まる。


『コイツがお似合いじゃねー?』
『松下とミヒロちゃん、お似合いじゃーん!学級委員に推薦します!』


三年生にならないと進路別にクラス分けしないので、二年間は琴音ちゃん達と一緒だった。高校二年生の始まり、同じくイジメ対象の眼鏡で目立たない松下君が私と一緒に学級委員に推薦された。これも嫌がらせに過ぎなかった。

私は精神的に耐えきれず、机で吐いてしまった。


『キャーッ!汚っ!』


クラスメイトが騒ぎ立てる。新しく担任になった先生が片付けをしてくれて、保健室へと連れて行かれた。

「広沢……、イジメに合ってるんじゃないのか?担任に言いにくいなら、私に言いなさい」

「有難う御座います…」

私は泣きながら、湯沢先生に今までの事を話した。先生は優しく抱き寄せてくれた。先生からはふんわりと良い香りが漂って居た。