怒りが収まらずに発してしまった言葉には重みがあり、周囲をざわつかせたのと同時に私を囲んでいる子達への反抗心だと捉えられた。

「ミヒロちゃん、今の言葉でよーく分かったわ。今までそーゆー風に思っていたんでしょ?もう、ミヒロちゃんなんて友達じゃないから。

……もう話しかけて来ないでね?」

琴音ちゃんが鬼の形相の様な顔をして、私を睨みつけながら言い放つ。

琴音ちゃんの取り巻き達も睨みつけながら、
「……デブが調子のんじゃねーよ!」とかブツブツと言いながら去って行く。

解放された私は自分が少し震えていた事に気付いた。

怖かった……でも、茜ちゃんが大好きだから守りたかった。

今はもう、茜ちゃんは居ないけれども……茜ちゃんをこれ以上、誹謗中傷して欲しくないの。

人の噂話や悪口ばかりのあの子達と居るくらいなら、一人で居る方がマシだと思い始めていた。

───が、しかし、一人で居る事がこんなにも孤独だなんて今は知る事が出来なかった。

二時間目の社会科の授業が始まり、集中しようとしていたが……、私の後ろ側の席からカサカサと紙切れの擦れる音がした。

先生が説明しながら黒板に記載している時やタブレットを通じてスクリーンに資料を映し出している時に限って、クスクスと声を押し殺しながら笑う様子や紙切れをクラスで回している様子が確認出来た。

紙切れは明らかに私を避けて回覧されていて、ヒソヒソ話をしているクラスメイトも居る。

「ちゃんと聞いてるのか?……手紙回して遊んでるんじゃないだろうな?…貸しなさい!」

先生もヒソヒソ話に気付いたらしく、怪しい素振りを見せた生徒に駆け寄り、教科書で軽く頭を叩き、小さな紙切れを取り上げた。

「何が書いてあるんだ?」