―――茜ちゃんは生理になると鎮痛剤で痛みを誤魔化していたと言っていた。

鎮痛剤を飲んでいる事を隠していて、いつも元気そうだから気付かなかった。

その夜、卵巣のう腫についてスマホで検索した。ほとんどの人が無症状で、進行するにつれて吐き気や腹痛、便秘などが現れるらしい。中高生ではお腹が張って、お腹が出てくる為に妊娠と勘違いする人もいるらしい。

のう腫が最大に大きくなると尋常ではない腹痛が現れて、倒れるとも書いてあった。

良性と悪性があるみたいで、悪性だと卵巣ごと採った方が良いとか色々書いてあったが……茜ちゃんがこの病気だと受け入れられなかったので、そっとスマホを閉じた。

茜ちゃんが居なくなってしまって、私はどうしたら良いのだろう?

心配する心の片隅には自分の事が心配で堪らない。私は寂しがり屋で、甘ったれで、一人じゃ何も出来ないのだから―――……


『茜ちゃん、産婦人科から出てきたって!!』
『相手は他校の生徒だってー』

茜ちゃんも私も、誰にも話す事はしなかった。

それなのに……噂は広がる。

病気が確定した一週間後、クラスで噂が広がり、茜ちゃんを見てはヒソヒソ話。


『確かに可愛いからさ、男はいくらでもいるんじゃない?』
『生半可な気持ちで進学校入ってさ、余裕だよね〜』


噂と一緒にヒガミも聞こえて、茜ちゃんは休み時間になると……教室を出る。

噂とは恐ろしいモノで、クラス内どころか、学校中に広がった。

廊下を歩けば、ジロジロ見られてヒソヒソ話……茜ちゃんには居場所が無くなっていった。

そんな時、頼りになったのは保健室の先生だった……。