茜ちゃんをなだめている間にジュン君という男の子は、フロントに行き、お財布を出していた。

「三人分だけ、適当に払ってきたから……」

三人分のカラオケ代、ジュース代を払ってきてくれたらしく、お金を渡そうとしたら何度も拒否された。

「……バイトしてるし、あいつらが迷惑かけたから、いいって」

「……でも」

「……それより、そっちの子、怪我しなかった?」

ジュン君という男の子は、気遣いが凄くて、他の男の子達とは、やっぱり違った。

「は、はい、大丈夫です。さっきは有難うございました」

茜ちゃんは泣き止んだけれど、私の左腕にベッタリ止まらず絡みついたままだった。

よっぽど怖かったんだな……って思う。この日がきっかけになり、互いに惹かれた二人は……付き合い始めたみたい。

寂しくもあり、嬉しくもある、お知らせだった。

茜ちゃんと潤君、とても、お似合いだと思う。

お人形のように可愛い茜ちゃんと王子様な潤君……

お似合いだけれども……

この瞬間から、茜ちゃんが学校を去る日のカウントダウンは、始まっていたんだ。

誰も予想が出来ない結末は、私の身にも振りかかる事になる。

私という存在が疎ましくなり、絶望的な明日へ繋がるカウントダウンの開始でもあった―――……