メイクでどんなに素顔を隠して、自分を偽ったって……

中身は変わらない。

あの頃の、臆病者の意気地無しのまま。

「……意気地無し、なの、私!!」

「……はぁ?何をいきなり?」

「だからっ、意気地無しの臆病者で、……っふぇ!?」

「訳分からないんだけど?とにかく、そんな身なりしてウロうろしてると勘違い野郎に無理矢理に食われちゃうぞ?」

「……うぁっ」

軽くデコピンをされて、再び手を引っ張られて歩き出す。

今度は手首を握るんじゃなくて… 優しく、そっと手を重ねた繋ぎ方で。

顔色を伺う暇もなく、次々とやって来るサプライズに私の胸は……

破裂寸前!!

この尋常な程の顔の火照り、きっと下地もチークも隠してしまう位に真っ赤だろう。

何だか、耳まで熱いし……視線もどこに合わせたら良いのか、分からない。

元々、知らない人と話す時は、視線は合わさずに話してしまうけど……

緊張感よりも、何だか恥ずかしくて……視線は斜め下。