私達は無事に抜け出して、男の子に事情を話すと、入り口で二人で茜ちゃんを待っていた。

入り口まで駆け足で来る茜ちゃん……。

「お待た……、きゃっ!?」

茜ちゃんの姿が見えたから、手を振ろうとしたら……茜ちゃんの背後から、さっきまで両脇に居た男の子達が行く手を阻んだ。

「茜ちゃん……!!」

両腕を互いに絡ませて、捕らえられた茜ちゃんは身動き出来なくて……怖かったのか、涙がポロリと床に落ちた。

『どーこ行くの?まだ帰らないでしょ?』

「……は、離してっ」

茜ちゃんが必死に振りほどこうと、もがくけれども……

男の子の力は強くて、かなわない。ボロボロと涙の粒がこぼれ落ちているのに、男の子達は気にしない。

私も怖かったけれど、茜ちゃんが助けを求めているのに放ってはおけなくて、

バッグで殴ってやろうと踏み出した時に……

隣の男の子が先に近寄った。

「……お前ら、いい加減にしろよ!!離さないなら……相手になるぜ?」

『……じゅ、潤君、それは無理っ。は、離します』

ジュン君って言うんだ?

ジュン君と呼ばれた男の子が言葉を発したら、あっさりと身を引いた。

茜ちゃんは急いで私に駆け寄り、抱き着く。

「怖かったよぅっ……」

抱き着いても涙は止まらず、ガタガタと震えていた。